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2011年5月 2日 (月)

祭を自粛するということ

震災のあおりで連休も仕事のカモノハシです。

府中の大国魂神社のくらやみ祭りが自粛だそうです。
今年は鎮坐1900年(!)の大祭だというのに、神事のみで祭礼は行わないとか。
大した反対もなく決まったようですが、誠に残念な話です。そもそも祭礼とは神のために行われるものであって、人間の勝手な都合でやったりやめたりしてよいものではないはずです。だからこそ、多くの祭が戦時中も粛々と続けられてきたのです。自粛を決めた神社や氏子たちは一番大切なことを忘れてしまったとしか思えません。

僕の講座「お笑い神道概論」では、「日本のカミさまはヤクザである」と教えています。その心は「理不尽に祟る」から。日本の神の本質は「祟る」ことにあります。何も悪いことをしてないのに、前を通りかかっただけで病気になったりケガをしたりします。言ってみれば、目があっただけでいきなり殴られるようなものです。とにかくおっかないのです。そのかわり、毎月毎年なにがしかのものをお渡しすれば、殴られないばかりか「何かあったらいつでも俺んところに言ってこいよ。力になってやるから」などと頼もしい存在になります。神様もこれとよく似ています。無辜の民にも理不尽に祟るからこそ畏怖の対象となるのです。古い時代の神像を見ると、ほとんど例外なく眉間に皺を寄せて不機嫌な顏をしています。神様はそもそも機嫌が悪い。だから祟られないようにお供えをし、お祭りを欠かさないことが大事なのです。

人々がどんなときでもお祭りを欠かさないようにしてきたのは、このためです。やめたらどんなことが起きるかわからない。もちろん戦争や災害で思うように祭が出来ない時だってあります。そういう時は、「申し訳ありません。今年はこれが精一杯です。お許しください」と謝りながら、一所懸命お祭りをやります。神様だってそんなに話がわからない方ではないですから、「うむ、まあ仕方がなかろう。来年はがんばって盛大にやるんだぞ」とやさしく言ってくださるでしょう。

地震と津波の被害を受け、おまけに原発のせいで避難区域になった福島の相馬の人たちは、それでもなんとか夏に予定された馬追神事を出来ないかと懸命になっています。おそらく東北の他の町の人たちも、夏や秋の祭をなんとかやりたいと考えていることでしょう。たとえつらいことがあっても、みんなで必死に歯を食いしばって祭をやる。我々の先祖は、ずっと何百年ものあいだ、そうやって来たのです。

府中の町には祭が出来なくなるような障害はほとんどありません。ただ、世の中の自粛ムードに歩調を合わせただけでしょう。これでは神社や氏子の長老たちは、祭を商店街のイベントぐらいにしか考えていないと思われても仕方がない。まあ、この辺がもともとイベント性の強い都市型祭礼の限界といえばそれまでなんでしょうが。
それにしても、祭ひとつ満足にやれないで、「ひとつになろう」とか「力を合わせて」とか、薄っぺらな掛け声ばかりが響く東京は、薄ら寒い感じさえします。連休明けの浅草の三社祭も自粛だそうですが、所詮東京の祭は単なるイベントと化してしまっていているということでしょう。情けないことです。

理不尽であるという点では、自然災害もカミと似ているといえます。時に、何の罪もない民を巻き添えにすることがある。誤解のないように言っておきますが、天下の東京バカ将軍の言う「天罰」とは根本的に異なります。罰はあくまで罪を犯した者に対して加えられるものです。罪もない者に罰を与えようとする特捜検事みたいな真似は、日本の神様はしません。

国立でむぱ研究室櫻分室というサイトで、宮武外骨が関東大震災の時に「天変地異を道徳的に解するは野蛮思想なり」と喝破していたことを知りました。

「造化の大脅威たりし今回の大震災について「◎◎と虚栄とで腐爛せんとした日本を天帝が首府東京を代表せしめて大懲罰を加へたのである」とか「この天誅を肝に銘じて大東京の再造に着手せよ」とか「神様の懲らしめを忘れてはならぬ」とか云った人もあるが、我輩はそれを冷笑に附して居る、自ら省て天罰と信ずる罹災者があるのならば、それも愚昧の仲間であるが、家を失い財を失い父に別れ子に別れ、夫に死なれ妻に死なれた者の中には、悪人も多かつたであらうが、又善人も少なくない、生存者悉くが善人ではなく、罹災者悉くが悪人ではない、然るにそれを一律に天罰なり天佑なりとするのは、自然の不公平を無視する善悪混合の大錯誤で、自然科学を解しない野蛮思想の有害論である。」

さすが外骨先生というほかありません。なぜ今、この時代に外骨先生のようなジャーナリストがいないのか。これまた情けないことです。

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