« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »

2009年6月 1日 (月)

五月も終わり

業績不振のため報酬の一律10%カット、という通知が来たカモノハシです。
新しいビデオの仕事のおかげで、今年は少し余裕のある暮らしができると思っていたら、まるで帳尻を合わせるかのようにこの減額。結局、この世の中、貧乏人は楽ができないように出来ているようです。
今年は年明けから、次から次へと仕事や原稿の催促が途切れることがなくて、身体がふたつ欲しいくらいなので、たとえ自転車操業でも倒れずに走っていられるのですが。来年、10%の次がどうなるかを考えると、いささか暗い気持ちになります。

気を取り直して、本を一冊、ご紹介。
「日本文化論キーワード」
有斐閣双書KEYWORD SERIESの一冊。日本文化を読み解く様々なキーワードを、一項目1ページもしくは2ページで解説する入門書。各章のテーマは、次のとおり。
第1章 日本文化のキーワード
第2章 古典を通して「日本」を読む
第3章 日本文化はどう論じられてきたか
第4章 日本文化論はイデオロギーか
第5章 外から見た「日本」

総論で掲げられている「両立性への志向」だの、「パッソ・オスティナート(笑)」だのには、ちょっと「うーんthink」っていう感じだけど、各項目についての解説は新しい切り口のものが多く、文章も歯切れがよくわかりやすいです。
歴史、文学、思想など、日本文化を学ぶ学生には、オススメの一冊。授業でも紹介しようっと

さて、もう一冊は、こちら。
井上寛司『日本の神社と「神道」』校倉書房
最近「神道の成立」をめぐる論文を書き上げた後、この井上さんの論文を知ってちょっと衝撃を受け、あわてて買い求めた一冊。
中世史の研究者に神社研究をしている人は少なくないが、そのほとんどが神社の組織や経済を扱うばかりで、神道そのものを問う人は非常に少ない。おそらくは戦前の国史学の過ちに対する反省(要は「羮に懲りて膾を吹く」の類)からなのであろうが、神道を問わずに神社を研究するのは、患者の意志や心理は考えずに病気だけを診て手術をする医者のようなものではないか。
井上さんは、その意味では、まさに数少ない歴史学者であると言える。序章からいきなり「「神道」と神社史研究の課題」と称して、顕密体制論をいかに乗り越えるかという課題を示す。この時点ですでに、僕のような神道思想研究者と問題意識を共有していることに嬉しくなる。その後も「中世末・近世における「神道」概念の転換」とか「「国家神道」論の再検討」といった、もうストライクゾーンど真ん中にためらうことなくビシビシ投げ込んでくる。研究者とは、かくあらねばならない、と改めて思わされる本。神道研究者必読です。

続きを読む "五月も終わり"

| | コメント (0)

« 2009年5月 | トップページ | 2009年7月 »