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2007年7月18日 (水)

日本人でよかった?

 わが家を出てすぐの道路に参議院議員選挙の広報掲示板があって、出かける度にイヤでも候補者たちの選挙ポスターが目に入ります。その中で、わが家に一番近い所に貼ってあるせいか、ちょっと気になる一枚があります。それは元女子アナ候補のポスターなのですが、そこには「日本人でよかった」と書いてあります。最初にそれを見たときから、どこか引っかかっているのです。日本人じゃない人が見たら、どう思うだろうか。あ、日本人じゃなければ選挙権もないから構わないのか。
 今日TVのニュースでで彼女の街頭演説を紹介していて、そこでもまず「日本人でよかった」と言っていました。よく聞けば「日本人でよかったと思えるような国にしたい」ということらしいのですが、それでもやっぱり変です。日本人じゃない人に対する想像力が欠如しているような気がします。「日本に住んでよかった」というなら、わかります。どこの国の人であれ、日本に住んでよかったと思えるような国、そういう国なら僕も大賛成です。実際は、クルド系トルコ人の一家を難民とは認めずに、国外へ追い出してしまうような国ですから、決して外国人にとって住みやすい国ではないでしょう。外国人にとって住みやすくない国は、日本人にとっても住みやすくないのではないか。
 国政をめざそうという人が、「日本人」なんて言葉を弄ぶのは、どうなんでしょう。これから日本は国際社会の中でどういうポジションを取ってゆくべきなのか、ということを考えなければいけない時に、「日本人でよかった」ではどうしようもない。なんて政治的センスのないキャッチコピーなのかと思います。もし僕ならば、「日本人で悪かったな」(笑)にしますね。
 おだてられて勘違いをしたのか、もともと上昇志向が強かったのかは知りませんが、こういうふうに「国家」とか「国民」ということについて、きちんとした考えもなく、選挙に出てしまう輩が後を絶たないのは、やはり民度の低さの表れなんでしょうか。情けないです。

Paolo_1 先日紹介した田村理の『国家は僕らを守らない』でも読んで勉強して欲しいですね。
 でもって、今読んでいるのはこちら。パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』。2004年に出た時から知ってはいたのですが、読みそびれていたので、文庫になった機会に読むことにしました。
 パオロは偽名で、どうやら40代くらいの日本の社会学者が書いているらしい。内容をひと言でいえば、ちまたに溢れるインチキ社会学を撫で斬りにして、真っ当な社会学とはどのようなものかを考える本。
 確かに筆者の言うとおり、社会学者のいかがわしさは、データの扱いが雑で、あきらかに自分に都合のいいデータしか扱ってないことが素人にもわかるところから来るのでしょう。そう言えば、Wikipediaの小熊英二の項目に「日本の社会学者としては珍しく、膨大な量の文献にあたる研究を行う」とあって、思わず笑ってしまったのを思い出しました。
 しかしこの本の魅力は、その内容もさることながら、ギャグ満載のその文体にあります。ほとんど僕の講義(実は漫談)みたい。僕も本を書くときは、こんくらいおちゃらけてやると心に決めました。ちなみに文庫版の帯には「つまらない学問は罪である。」とあります。まったく同感であります。近世をやってる若手の日本思想史学者の研究などを見ると、思わず「それって面白い?」と突っ込みたくなってしまいます。よーし、後期の授業に備えて、ギャグに一層磨きをかけようと誓うカモノハシでした。

 

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2007年7月17日 (火)

東京の夏

すっかり更新をサボってしまいました。申し訳ありません。
日々のよしなしごとをつれづれなるままに書き記せばよいものを、なんかちゃんと内容のあることを書こうなどと構えるので、つい億劫になってしまうのですね。
サボっている間にも、いろんなことがありました。展覧会報告もしなければいけないし、新しいCDもだいぶ溜まっているし。

Aogashima_event  というわけで、今日はとりあえずこちら。「青ヶ島の神事と芸能」という公演に行ってきました。これは第23回〈東京の夏〉音楽祭2007「島へ―海を渡る音」というイベントの一環としておこなわれたもので、青ヶ島の神事を初めて島の外へ持ち出して実演するという試みです。
 もちろん内容的には直接中世にまで遡れるものではなく、おそらくは江戸時代末期から明治にかけての形を伝えているものだとは思いますが、それはそれで興味深い点がたくさんありました。
たとえば大祓の祝詞と般若心経を続けて読んだり、神主が唱える祭文に合わせて巫女が踊りを踊ったり。もちろん青ヶ島ですから、鎮西八郎為朝にまつわる詞章もあったりします。
 島外でやるのは初めてということで、舞台慣れしていなくて、「次、なんだっけ」とか「ちょっと休憩」などと言いながら、ゆる~い感じで進んでゆくのがよかったです。

Aogasima_1 実は今回の公演の仕掛け人のひとりは山本ひろ子さんで、今日も司会と解説を務めていました。
 山本さんは、今年から活動拠点を大学の外に移し、「成城寺小屋講座」なるものを立ち上げました。実際の運営は、教え子たちが作った事務所がおこない、今後も様々な企画を予定しています。
 というわけで、来る8月18日(土)には、今日の公演で解説を務めた菅田正昭、土屋久両氏と共に「青ヶ島フォーラム2007夏」を開催します。関心のある方は、ぜひどうぞ。詳しくは「成城寺小屋」のホームページで。

Okinawa_le また、9月1・8・15日には、「琉球王朝の祭祀と神話―御嶽・グスクと首里城を訪ねて」と題して、小山和行、波照間永吉両氏を講師に、夏期講座を開催します。3回通しはもちろん、1回だけの聴講も可能です。
 こちらは、9月末に講師をガイドに、実際に沖縄に乗り込むツアーも企画しています。

 などと宣伝をしてきたのでお気づきのように、僕も「成城寺小屋」立ち上げには協力しています。講座に参加したいというお申し出はもちろん、こういうテーマで講座をやってはどうか、という持ち込み企画も大歓迎ですので、なにかありましたらご連絡下さい。

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